【考察】革靴の羽根の開き具合考|閉じても開き過ぎてもダメ

[写真]理想的な羽根の開き具合の外羽根の靴(パラブーツ シャンボード)
羽根の開き具合考
革靴のサイズ選びは本当に難しい。
大きいサイズを選んでしまうと、羽根が完全に閉じて深い皺が入ってしまう。見た目も悪いが、履き心地も悪い。逆に、 稀にではあるが、羽根が開くことにこだわり過ぎたのかタイトなサイズを選んでしまい、シルエットが崩れてしまっている靴(を履いた人)を見かけることもある。やはり見た目も悪いが履き心地も悪い(はず)。
羽根が閉じてしまうような大きいサイズを選んでしまうと見た目と履き心地が悪くなるからというのもあるが、羽根が閉じてしまうことによって、それ以上キツく締めあげることができなくなり、ミリ単位で締め付け具合を調整できる紐靴のメリットを失ってしまうところにもある。
羽根の開き具合でわかるサイズ選びの合否

[写真]羽根が開きすぎた革靴の例|池袋西武5F靴磨き・シューリペア工房
繰り返しになるが、羽根が閉じ切ってしまうとサイズ選びとしては失敗。羽根が開いているから正解かと言えばそうではない。羽根が開きすぎていると言うことは靴のシルエットが崩れて見た目がよくない。これもまたサイズ選びに失敗しているということになる。そもそも痛すぎて履き続けるのは難しいだろう。見た目に関してだけ言えば、開きすぎよりは閉じきっている方が美しいと思う。
理想的な羽根の開き具合は好みの問題ではあるが、個人的には外羽根、内羽根問わずしっかりと紐を結んで1cm程度開いている状態がベストな開き具合だと思っている。

[写真]理想的な羽根の開き具合の内羽根の靴(チャーチ コンサル)
革が伸びることを計算したサイズ選びの難しさ
履いていくうちに起こるインソール、コルクの沈み、革の伸びを計算してサイズを選ぶ。
その時羽根は程よく開いていなければならない。なんと難しいことか。どなたかのブログかツイッターで、J.Mウェストンの靴は10年後の最高のフィッティングの為に血の滲む様な試練が待ち受けているというのを見た。恐らくは本当に血が出ているのだろう。
ワタクシも新しい靴を履いて靴ずれで血が出たことはあるが、我慢できてもせいぜい1ヶ月から2ヶ月。
それ以上となるとサイズミスだったと諦めるだろう。何ヶ月もの間痛みの伴う靴を履いていたら靴の方だけではなく足の型が変わってしまう。
何を重視するかは当然個人の自由なのだが、骨格を歪ませてまで味わう最高のフィッティングに意味はあるのだろうか。
血の滲むような痛みを乗り越えて馴染ませた靴であれば愛着もそれ相応なものに違いない。
一生物かそれに近いものになるだろう。
他人の靴を見る時に、どこのブランドのどのモデルか、手入れされているか否か、つま先は鏡のように光っているか等を気にする人多いと思うがワタクシの場合、羽根の開き具合に目が行ってしまう。
理想的な羽根の開き具合で靴を履いている人を見るときちんとした人なんだろうなと感じる。本当に難しい靴のサイズ選び。それが出来ている人は当然のように適度に手入れもされている。
靴のサイズ選びは本当に難しい。