【考察】パラブーツ シャンボードは本当に良い靴なのか?|Paraboot Chambord
大人気のパラブーツ(シャンボード)は本当に良い靴なのか?
今や雑誌を見てもSNSを見てもパラブーツ(シャンボード)だらけ。
一時的な流行ではなく、もはや定番ブランドと言ってもよいのかもしれません。
contents
Paraboot(パラブーツ) ブランド概要
パラブーツはフランスのメーカーで、企業理念は「Invest in your walk=価値のある歩き」。
日本では株式会社アール・ピー・ジェー(RPJ=リシャール・ポンヴェール・ジャパン)が展開、直営店は東京(青山、銀座)、大阪(南船場、阪急メンズ大阪店)、北海道(札幌)の5店舗。
街を歩けば1時間に1回はパラブーツユーザーとすれ違います。しかし、そんな人気のパラブーツは、本当に良い靴なのでしょうか?
今日はそんな疑問をワタクシ自身2足所有している、パラブーツの代表モデルの「シャンボード」で解析してみたいと思います。パラブーツ シャンボードの特徴
雨に強い|リスレザーとラバーソール
ここ数年で頻繁に雑誌に取り上げられるようになりましたが、それ以前から愛用している人も多く、所謂(いわゆる)高級紳士靴を履くような靴好きの人の中にも昔からパラブーツを愛用している人はいます。
しかし、彼らの多くは雨の日用の靴としてパラブーツを履いています。
これは、フランスの宝石と称されるParabootが独自になめした油分含有率が高い革「リスレザー」をアッパーに使用していることと、ラバーソール(ゴム底)であることが理由に挙げられます。フランスの宝石、「リスレザー」と聞くと高級感があり、特別な印象を持ってしまいますが、「レッドウイング」や「ダナー」等のワークブーツに使われている革と同じでいわゆる「オイルドレザー」に分類されます。自ら履いてみて特別雨に強いと感じることはありませんが、ある程度季節や天候を気にせず履くことができる靴であるということは間違いありません(豪雪地帯を除く)。
シャンボードの革質については下記のページをご覧下さい。革質について
J.M.ウエストン ゴルフの廉価版?
[写真左]Paraboot シャンボード|[写真右]JMWESTON ゴルフ
パラブーツのシャンボードは、U字型のモカシン縫いのオックスフォードシューズで同じくフランスのメーカーの「J.M.ウエストンのゴルフ」に似ていると言われます。
単純に価格だけを比べるとウエストンのゴルフの方が高額であり、シャンボードをゴルフの廉価版という人もいます。
ポッテリとした愛嬌のある丸っこいフォルムのシャンボードとビジネスにも使えそうなシャープなフォルムのゴルフ。シャンボードはジャケパンまで(カジュアル)、ゴルフはスーツにもOK(フォーマル)というのが大方の意見。汎用性に違いがあるというのは理解できますが、「=廉価版」という考え方には反対です。シャンボードとゴルフを双方所有し、使い分けている方もいるようです。
ウエストンのゴルフを愛用している人のSNSやブログを見ていると、購入時にタイトなフィッテイングを薦められ、履き始めてから足になじむまでに長い期間かかる旨の書き込みを多く見ます。
その期間の痛みは「修行」等と表現が出てくる程で、血のにじむような苦痛が伴うそうですが、その後の履き心地は天国なのだそうです。
その点シャンボードはほとんど痛みを感じることがなく、足に馴染むまでの期間は今まで履いたどの靴よりも短かったと言えます。
これは単に自分の足がシャンボードの木型に合っていただけということも考えられます。
天国のような履き心地と言う表現ができるような高級な革靴を履いたことはなくても、馴染むのが早く、スニーカーのように柔らかく、良い履き心地の靴であると言えます。
パラテックスソールの踵が剥がれるのは日本の気候のせい?
とここまでプラスなことばかり書いていますが、靴として明らかにマイナスな点もあります。
パラブーツのシャンボードのソールはラバーソールの踵の接着が弱く、普通に歩いているだけで取れてしまうという症状が頻繁に起こっているようで、実はワタクシも経験済みです。その時は偶然にも歩いて数分の所にミスターミニットがあり、わずか20分、600円程で修理が完了し、事なきを得ましたが、軽登山の最中に同じような場面に遭遇していたら、前述したプラスの内容は間逆のソレになっていたかも知れません。ミスターミニットで再接着してからは問題なく履けています。「ミスターミニット」だけではなく、靴修理ができる店であれば1,000円以下で修理可能なのではないかと思います。
パラテックスソールとソールの交換(オールソール)について
[写真]パラブーツ純正パラテックスソール
シャンボードのソールは、「パラテックスソール」というパラブーツのオリジナルソールで、とにかく柔らかい履き心地であることが特徴です。
ソール交換する際、純正の「パラテックスソール」での交換は、残念ながら、パラブーツの直営店でしか受け付けていません。
ワタクシ自身、パラブーツのシャンボードのソール交換を2度経験していますが、その内1回は直営店で純正品での交換をしましたが、もう1回はシューリペアショップのRESHで「リッジウェイソール」というパラブーツではないメーカーのソールで交換しました。
[写真]リッジウェイソール
履いている状態でのリッジウェイソールの見た目はパラブーツの純正品(パラテックスソール)とほとんど同じですが、履き心地は全くの別物で決して良いとは言えません。とにかく硬いのでスニーカーのように柔らかいパラテックスソールに慣れていると違和感を感じます。
[写真]純正パラテックスソール
[写真]リッジウェイソール
[写真左]純正パラテックスソール
[写真右]リッジウェイソール見た目が同じであれば問題ないと考える人も多いと思いますが、従来の柔らかくてスニーカーのような履き心地にこだわる人は直営店で「パラテックスソール」での交換をオススメします。
ソール交換の費用
リッジウェイソールでの交換は15,000円(RESH)、パラブーツ純正パラテックスソールでの交換は17,000円(パラブーツ直営店)でした。
郵送でのリペア依頼の方法は下記をご覧ください。
オールソールの価格は「17,380円」、納期は「1か月~」。
修理メニュー|Paraboot 公式〒542-0081
大阪府大阪市中央区南船場4丁目6-15
Paraboot リペア係宛
TEL 06-6251-1125
E-Mail repair@paraboot.shopモカ割れはエイジング?
もうひとつマイナスポイントを上げるとすれば、シャンボードのモカシン部分が割れる、いわゆる「モカ割れ」を起こすことです。
ワタクシのシャンボードのこの部分は履き始めてすぐに割れてしまった為、当初は相当落ち込み、何とか元に戻らないかといろいろ調べたりしましたが、履いていくうちに気にならなくなりました。
[写真]モカ割れしたシャンボード(マロン)
この部分をネガテイブに捉えるかエイジングのひとつとしてポジティブに捉えるかは人によって分かれるところだと思います。どうしてもモカ割れが許せないけどシャンボードが履きたいという人は、モカ割れしない仕様の「ヌバック」もしくは「コードバン」素材のシャンボードを選ぶという方法もあります。
価格(内外価格差)と個人輸入
[写真]Paraboot 公式
度々価格改定を行っており、国内正規代理店での販売価格は70,000円(2020年5月現在)(2015年8月までは63,000円、2014年12月までは60,000円、2013年12月までは56,000円)税抜と、高級な価格帯に入ります。
現地(フランス)に比べると日本での販売価格は相当高いようで、個人輸入をする人も多くいます。
東京フットウエア(株)が楽天市場やAmazon、Yahoo!ショッピング等で展開するショップ『 T-SUPPLY 』での価格は正規代理店ルート品のおおよそ60%程度の価格で販売されています。いわゆる『 並行輸入品 』と呼ばれるもので偽物ではありません。
『 T-SUPPLYでパラブーツ シャンボード 』を探す
緑色のブランドタグの是非
ひと目で「パラブーツ(Paraboot)」とわかる緑色のタグの存在は賛否両論あるようです。
スーツ着用時に邪魔になると購入直後に取ってしまう人もいるようですが、個人的にはボロボロになっても意地でも取りません。
リーバイスのジーンズのバックポケットの赤タグと同様、デザイン的に無くてはならない部分だと思っています。
長い期間履いていくうちにタグもほつれてきますが、タグのみを新品のものに交換をしてもらえるメニューもあります。価格は4,400円(税込)。
詳しくは下記ページをご確認いただきお問い合わせください。賛否両論「オンオフ兼用(ビジネス兼用)」
[写真]ブランド「タグ」と幅広の「白ステッチ」
ドレスシューズとは真反対のスペックを持つ「パラブーツ シャンボード」。カジュアルスタイル、ジャケパンスタイル(ビジネスカジュアル)の足元にシャンボードを合わせるスタイルはもはや「定番」ですが、いわゆる「スーツスタイル」の足元にもシャンボードを合わせる強者も少なくないようです。
- 割れてしまう「モカ」
- 緑色の「ブランドタグ」
- ノルウェージャン製法独特の「L字型のウェルト」
- 幅広の「白いステッチ」等
見た目はやはりカジュアルなスタイル「向き」であることは間違いなさそうですが、シャンボードの特徴でもある
- クッション性に富んだ「パラテックスソール」
- 雨に強い「リスレザー」
は、スーツを着て屋外を歩き回るスタイルの仕事の人には持ってこいのスペック。クールビズの時期や梅雨の時期(5月~9月頃)にはビジネス兼用で履いてもよいのかもしれません。
グッドイヤーウェルト製法のドレスシャンボード
グッドイヤーウェルト製法でブランドタグが無い通称「ドレス・シャンボード」というモデルも発売されています。ドレスシャンボードならクールビズの時期以外でも批判されることは少ないのではないでしょうか。
パラブーツは本当に良い靴だ
ワタクシも天の邪鬼を自覚しておりますが、今以上の人気になったとしても履き続けたいと思える、とても良い靴であると胸を張って言うことができます。
とは言っても、今後雑誌等のメディアの露出が増えることによって、レッドウイングのように偽物が出回ったり、最終的に値崩れを起こしたり、クオリティが低下したり、なんていうことにならないことを祈るばかりです。
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Title: No title
Posted by nakata
公式行事での着用だとやはりモンターニュあたりになるのでしょうか。
個人的には中沢にはウィリアムスあたりを履いてもらいたいです。やはり公式行事、スーツにシャンボードはなしでしょうね(笑)
いずれにしても楽しみです。
Title: Anythingさん>
Posted by S
Anythingさん
雨用の靴にわざわざ選んで履く人の気持ち、わかりません。
長文駄文を読んでいただいたうえにコメントまでありがとうございます。またお願いします。
Title: No title
Posted by Anything
S様
こんばんは。Anythingです。
私もパラブーツのシャンボードは愛用しております。
S様がおっしゃるとおり、私も雨の日に特別強いということは無いな、と感じます。
履き心地については、私の場合は買った当初、両小指が靴ずれし、2ヶ月ほど痛い思いを致しました(苦笑)
しかしながら、履き慣れてしまえばとても楽ですよね。
タフなソール、リスレザーの独特の艶がやはりこの靴の魅力ですね。
パラブーツのシャンボードは、JMウエストンのゴルフと比べても見劣りしない、間違いなく良い靴だと思います。
人気が増して行っても、落ち着いたイメージを維持し続けていって欲しいですね。