【メンテナンス】サドルソープは本当に良いメンテナンス用品なのか?|パラブーツ シャンボードの丸洗いで実験

[写真]サドルソープ失敗写真1
サドルソープは本当に必要なのか?
サドルソープ、要らないなあ。
という内容の記事です。
ワタクシが所有するサドルソープの輸入販売を行っている会社のHPにこんなことが書いてありました。
使用方法に従ってサドルソープを使った結果、白い粉が吹き出てきたんですが・・。
contents
サドルソープ失敗写真2

[写真]サドルソープ使用後に表面に出てきた白い粉
サドルソープ失敗写真3

[写真]サドルソープ使用後に表面が凸凹に
サドルソープ失敗写真4

[写真]サドルソープ使用後に表面にでてきた白い粉②
サドルソープにまつわる逸話-べじたん
- 定期的にサドルソープを使うと、吟面は硬くなり、色が濃くなり、ひび割れる。また、汚れが革の中により深く入るので、汚れ、石鹸および過剰な油脂で吟面がふさがれる。
- サドルソープは、革をクリーニングするためではなく、製革工が革にオイルを入れるために開発された。今日では、サドルソープは時代遅れで役に立たない。
間違いなく今年一番履いたパラブーツ シャンボード ブラックをサドルソープを使わず丸洗いする

[写真] 型崩れシャンボード1
見た目を繕う為にブラッシングこそ履く度にやっていましたが、「一日履いたら一日以上休ませて、シューツリーを入れる。」というしなければならないこともせず、数回履いたらディアマントで手入れ。もせず。
少し前なら当たり前にやっていたことをほとんどやらずに連日酷使。履かない日は休ませるというよりは脱ぎっぱなしの放置状態。
結果、見事なまでの型崩れシャンボになってしまいました。
型崩れシャンボードの写真

[写真] 型崩れシャンボード2

[写真]型崩れシャンボード3

[写真]型崩れシャンボード4
サドルソープ不要。固形石鹸+40℃のお湯を使って丸洗い
皺が深く入り、革もフニャフニャ。このまま酷使し続けると間違いなくひび割れを起こすので、丸洗いすることにしました。
「革靴の丸洗い=サドルソープ」というのがワタクシの中では当たり前になっていましたが、所有しているR&D社のサドルソープは当然、他社のサドルソープすら使う気になれない。
固形石鹸を使って洗います。
丸洗いに使ったもの
- 大き目のタライ
- 40℃のお湯
- 固形石鹸
- タオル数枚
- シューツリー
- コロニル 1909シュプリームクリームデラックス
固形石鹸は、「牛乳石鹸の赤箱(しっとりした洗い上がり)」を使いました。
(!--ここから写真無し--)
丸洗いの手順
- 大き目のタライに40℃くらいのお湯を入れて30分程度靴を浸ける
- 固形石鹸を泡立てて手で擦って洗う
- 再度、洗面器に40℃くらいのお湯を入れて30分程度靴を浸ける
- タオルで水分を拭き取り木製シューツリーを入れて乾燥させる(何度かシューツリーを入れ替える)
- 半乾き状態で「コロニル1909シュプリームクリームデラックス」を塗る
- 完全に乾いたら再度、「コロニル1909シュプリームクリームデラックス」を塗ってブラッシング
(!--/ここまで写真無し--)
連日の酷使で、蓄積しているであろう古いクリームや汗、汚れを綺麗にしたい。
「水」ではなく「お湯」を使うことで洗浄効果が高くなり、それだけである程度綺麗になることはわかっていました。
これまで何度か、60℃超の高温のお湯に浸けてからのサドルソープで丸洗いを行いましたが、シャンボードでソレをやってしまうとヒールのボンドが剥がれ、取れてしまう。
そこで今回は40℃のお湯を使用しました。
「固形石鹸」+「40℃のお湯」を使った丸洗いの結果をご覧ください。(マウスオンor画像タップでBefore & Afterで比較できます)
ビフォーアフター
乾燥後の完成写真

画像マウスオン or タップで洗う前の型崩れシャンボの写真に切り替わります

画像マウスオン or タップで洗う前の型崩れシャンボの写真に切り替わります

「マウスオン」or「タップ」で洗う前の型崩れシャンボの写真に切り替わります

「マウスオン」or「タップ」で洗う前の型崩れシャンボの写真に切り替わります

「40℃のお湯」 + 「固形石鹸」で革靴の丸洗い史上、最高の仕上がり
40℃という温度はソールが剥がれることなく、何度か塗り重ねたクリーム(ディアマント、サフィールの乳化性)が落ちるちょうどいい温度。間違いなく汚れも落ちてくれている(はず)。
石鹸を使ったからといって特にカサつくこともありませんでした。写真で見てもわかるほどにフニャフニャ&シワシワでしたが、ご覧の通りハリとコシが蘇りました。これまで何度も靴の丸洗いをしてきましたが、史上最高の仕上がりになりました。
要らないなぁ、サドルソープ。
みなさんはどう思いますか?
【革靴の丸洗い その他の記事】
Post a Comment.
Title : 革星人さん >
Posted by S
コメントありがとうございます。
革星人と言うだけあってかなりお詳しい様子ですね。
7年前の記事ですが、今では多くの方が革靴を水洗い(お湯洗い)+革靴用ではない石鹸でメンテナンスされている様子がブログやSNSで実行されています。
革星人さんのような革に詳しい方や業界関係者には申し訳ないのですが、恐らく出所はこのブログです。
サドルソープの売上が落ちたとの情報もメール頂きました。
今のところデメリットはないので訂正するつもりはありませんが、自己責任でということだけはお願いしています。
Title : Re: 【メンテナンス】サドルソープは本当に良いメンテナンス用品なのか?|パラブーツ シャンボードの丸洗いで実験
Posted by 革星人
こんな事している人がいるのかーと感心しました。
サドルソープにて失敗とありましたが、
基本的にサドルソープで革の洗いをしようが
固形石鹸で丸洗いしようが、汚れ落としという観点では、大まかな違いはありませんよ。
しかし、潤い成分などはメーカーさんのノウハウなのでサドルソープに軍配あるのかな?
(ちなみに、白く出ているのは、固形化したオイルか、塩です)革のpH変わったりすると出てきます。
今回40℃のお湯に固形石鹸とありましたが
実はこれが、たまたま上手くいくんですよ。
だって革にとってダメージの少ない温度かつ
乳化された脂が革に、残るので靭性も保てんです。
主に革を鞣した後に行われる、加脂作業に近いことをしていることになるんです。
ちなみに、
サドルソープの成分を少し残すのは潤い成分=乳化された脂を革組織に残して結合させるのが目的です。(これやらないと革の組織同士に脂が無くなり革自体が硬くなります。)
今回アルカリ性の石鹸とありますが、アルカリにどぶ漬けしますと、クロム革ですとクロムが流れ出る可能性ありの為、避けてください。
また革のアルカリは、革のゼラチン化の進行やコラーゲンの結合のランダム化などによるシワ、縮の原因になる為、避けてください。
また下手に素人がpH変えるようなことをすれば
革の各物性値が、より不利になるのでおやめ下さい。
ぶっちゃけ水に浸かった時点で物性的に同様なものとは言えない為、元に戻るなんて事は僕達からするとありませんが、、、
しかし、トライエラーで物を学ぶのは大変良いと思うので偏見交えず続けて頂きたいです。
Title : SSSさん >
Posted by S
長文ありがとうございます。
サドルソープに関してワタクシの中ではすでに結論は出ております。
サドルソープを製造・販売している会社のHPです。
http://www.randd.co.jp/howto/saddlesoap1/
サドルソープを糾弾する記事がここ10年くらいで非常に増えた原因を恐らく作っているこの会社に問い合わせてみてはいかがでしょうか?
Title : Re: サドルソープは本当に良いメンテナンス用品なのか?|シャンボードで実験
Posted by sss
サドルソープは文字通り、サドルレザー製のサドル(鞍)用の洗剤であり、汎用革洗剤ではありません。
そのことを理解せずに、サドルソープをサドル以外に使って失敗したことを以てサドルソープを批難している無知な人が多すぎます。
サドルソープを糾弾する記事はここ10年くらいで非常に増えましたが、その殆どがサドル以外(靴や鞄)に使った結果を根拠にした滑稽なもので
言ってしまえばこれは、食器洗い洗剤を洗濯機に入れて、衣類が色あせしたとか言ってるのと同レベルの愚行です。
サドルソープの中にも粗悪な物もありますが、有名所のサドルソープをサドルに使う分には何の問題もありません。
そもそも問題があったら、サドルソープとして「有名所」にはなってませんからね。
革製品を正しく手入れするには、その革が、何のどの部分をどう処理した革でどのような状態に保つべき製品かを把握するのが第一で
サドルソープを糾弾する人達は、まずそこを理解していない傾向にあります。
同じ革を使っていても、鞍と鞄では求められる性能(どのような状態に保つべき製品か)が違うために、手入れの仕方も変わってきます。
素人さんにそれを全て把握、理解してから革製品を使えと言うのは無理な話ですが、その辺を全く理解してない段階で
見当違いなケミカル批判は、同レベルの無知な人は本質の間違いに気付けず上辺だけ見て感心されても、詳しい人からは嘲笑を買うだけですよ。
確かにあなたにとってはサドルソープは不要でしょうが、それはサドルソープが不出来で用を成さないから不要なのではなく
そもそもあなたが、サドルソープを使用するに適する製品を持ってないから不要なだけです。
アイロンを持ってない人が、洗濯糊ではなくアイロン糊を買っても無用の長物なのと同じで、これはアイロン糊が悪いのではなく
アイロン掛けせずにも効果が出る洗濯糊を買うべきところを、誤ってアイロン糊を買ってしまった本人が間抜けなだけです。
Title : ひろさん >
Posted by S
固形石鹸を使用したのは少し調子に乗った感があります。
お湯だけでも十分奇麗になると思います。食器用洗剤は・・・くれぐれも慎重に自己責任で実行されてください。
つま先にワックスの件
銀面が損傷してしまったのかもしれませんね。
詳しくないのでお近くのプロのシャイナーに相談されることをお勧めします。
コメントありがとうございました。またお願いします。
Title : はじめまして。
Posted by ひろ
リンク先を拝読したところ、アルカリ性もあかんということみたいですね。
身近な中性洗剤ですと食器用洗剤ですが、
一度試してみたいところですね。
ところで、リムーバーを使用後、つま先にワックスを塗ったところ、所々にじむようになったのですが、下地作りが甘いんでしょうかね。
Title : 別の通りすがりさん >
Posted by S
鞣す工程の前の保存の段階で使用された塩分
2名の方(共に通りすがり)がおっしゃられていると言うことは、やはりサドルソープの成分ではないということなのでしょうか。
炎上しては困りますのでサドルソープに関してはこれ以上触れないように致します。
貴重な情報ありがとうございました。
またお願いします。
Title : No title
Posted by 別の通りすがり
はじめまして、いつも拝見しております。
靴の革の白くなった部分ですが、革を鞣す前の原皮を保存するときに、塩漬けにすることがあります。
この時塩分が染みこみすぎると、何かのきっかけでこのように白く塩を吹くときがあります。
革の塩吹きは汗の塩分由来のみではないようです。
Title : 通りすがりさん >
Posted by S
白い粉は塩分ではなくサドルソープの成分だと思っています。
写真の通り最も汗が染みにくいであろう部分中心に白くなっています。
お湯につけて革が柔らかくなったところでサドルソープを使い、その後すすぎを十分にしなかった為に革の奥まで浸透したサドルソープの成分が乾く過程で表面に出てきたのではないかと。
この考えが間違っていたとしてもサドルソープは今後使わないと思います。
コメントありがとうございました。またお願いします。
Title : No title
Posted by 通りすがり
初めまして、時々拝見させていただいてます。
革靴、ブーツの水洗い・湯洗いを施行した事があります。
サドルソープも使用した事もありますが特にトラブルの経験はありません。
ただ、特段にサドルソープをすすめる訳でなく、台所洗剤や洗濯洗剤でも問題ないのではと感じます。
良く聞くトラブル原因としてはすすぎ不足、スポンジ等で擦りすぎ、オイルアップのタイミングと量かと。
画像の白い粉は革に閉じ込められた塩分が吹き出たものでは?と感じます。
元々、革をなめす際に多々の薬品を使用してますからサドルソープの影響による革質の崩壊も考えにくいですし。
デリケートな皮革でなければ、躊躇はしないです。
件の博物館でのトラブルも安易に使用した博物館にも不信を感じますし、革製品を短いスパンで水洗いを繰り返せばトラブルは起きます。
革靴の場合はクリーム、オイル又は雨や多々の汚れや要因にさらされていますからサドルソープの成分に過剰に反応しなくても良いのではとの思いです。
まとまりのない長文で申し訳ありません。