インバーアランのウールセーター(ニット)を洗濯 |賢い男は自分で洗う
インバーアランのウールニット(セーター)を洗濯-賢い男は自分で洗う
これまで所有してきたウールのセーターと言えばユニクロや無印良品等の安価な物がほとんどで、当然何も気にすることなく洗濯機で洗ってきた。
本格的なウールのニットを所有したことがないので洗濯方法がわからない。元々持つ機能が失われたり、何より縮んで着られなくなってしまうのではないか。
アランニットの手入れについて
「手入れはどうしたらいいですか」と、よく聞かれますが、一番いいのは「何もしない」ことです。ブラシを当ててほこりを払うだけで、特別な手入れの必要はまったくありません。
それでも、洗いたいという場合。
ドライクリーニングもできますが、ドライに出すと、どうしても毛糸が硬化してしまうこと、また、脂分が抜けてしまうこと、これは避けられませんので、ご理解下さい。
お薦めするのは、手洗いです。最近の洗濯機には「手洗いモード」という、優しい回転を選べるものも増えてますので、こういう洗濯機ならば機械洗いも可能です。一番手っ取り早いのは、信用できるクリーニング業者に「手洗いで」と、依頼することでしょう。
それでも洗いたい。
最も汚れが目立つ白、しかも中古品となると洗わないわけにはいかない。でも信用できるクリーニング業者はいない。
じゃあどうするのか。
右肩部分の汚れ
タグ部分の汚れ
じゃあどうするのか。
取り出したのはFree&Easy 2009年11月号。P.220 「オイルドセーターくらい洗えるようになりたい。」
うっかりクリーニングに出したら、オイル感がすべてとれてしまい、まったく普通のセーターになってしまった。しかし賢い男はそんなドジを踏まない。自分で洗う。これに勝る方法はないのである。
引用: Free&Easy 2009年11月号|P.220オイルドセーターくらい洗えるようになりたい
使用する道具
このインバーアランのニットは所謂「未脱脂ウール」を使用した「オイルドセーター」には該当しないが、比較的多く油分(ラノリンオイル)が含まれているウールを使っているらしい。
洗う事でウールに含まれるラノリンオイルが流れ出てしまったところをオリーブオイルで油分を補給。新たに何か買わなくても家にある物で対応できそうなので、参考にしながら自分で洗ってみることにした。
しかし、雑誌「Free&Easy」に記載してある手順を詳しく見てみると、「バケツに水とセーターを入れた後に洗剤を入れる」、「水の表面に皮膜ができるくらいオリーブオイルを注ぐ」等、書いてある内容がかなり「ラギッド(大雑把)」。
次に取り出したのは株式会社ネコ・パブリッシング発行の「プロが教える男のメンテナンス大辞典」。
こちらは、カナディアンセーターを取り扱う大協産業の方が洗濯方法を紹介している。
使用する道具はほぼ同じだが、F&Eより手順が詳細に記してある。油分補給の理想はラノリンオイルとしながらも、オリーブオイル・サラダ油でも代用可と書いてあった。
手順 (「Free&Easy」と「プロが教える男のメンテナンス大辞典」のいいとこ取り)
- 限りなくぬるま湯に近い水(20℃)に規定量の洗剤を加えしっかり混ぜる。
- 洗剤を溶かした限りなくぬるま湯に近い水(20℃)にセーターを浸けて丁寧に押し洗い。
- 押し洗いを数回行うと黒ずんだ液体に変化していく(ウールに含まれるラノリンオイルでも黒くなる)
- 押し洗いが終了したら、しっかりとすすぐ(ラノリンオイルによる黒ずみもあるのである程度の黒ずみが無くなったらOK)
- バケツの中でしっかりと脱水
- 綺麗な水の中にオリーブオイルを小さじ1杯入れてオイルの膜がなくなるまでしっかりと混ぜる
- セーターを水に浸けて油分がしみ込んだらすばやくセーターを取り上げる
- しっかりと脱水
- セーターをバスタオルの上に置き、上からタオルでトントン叩いて水分を移す(表裏両面、念入りに)
- バスタオルの上で完全に乾かす
ポイント
- おしゃれ着用洗剤を使用する(プロが教える男のメンテナンス大辞典)
- できるだけ上質なオリーブオイルを使うこと(Free&Easy)
- 丁寧に洗い、毛玉を作らない(プロが教える男のメンテナンス大辞典)
- 洗い終えたら、濡れてずっしり重くなったセーターをギューッと絞りたくなるのをグッと堪えて、重ねたバスタオルの上でやさしくタントンタントン叩いて水分を落とすこと(Free&Easy)
おしゃれ着用洗剤は「花王 エマール」、オリーブオイルは「BOSCO エキストラバージンオリーブオイル」を使用
[写真]Free&Easyの教えの通りできるだけ上質なオリーブオイルを使用
洗浄中
[写真]汚れだけでなくラノリンオイルも水に溶けると黒くなる
すすぎ中
[写真]4回程度水を替えてすすぐと洗剤も落ちて黒ずみも落ち着いてくる
オリーブオイルを小さじ1杯
[写真]水15リットルに対して小さじ1杯のオリーブオイルを投入した
油分補充中
[写真]オリーブオイルを入れた水に浸してすぐに取り上げる
脱水中
[写真]全体重を乗せて脱水
乾燥中
[写真]バスタオル3枚、タオル5枚使用した
乾燥後-右肩部分の汚れ
乾燥後-タグ部分の汚れ
乾燥後-全体
Before After-右肩部分の汚れ
[写真]左:Before 右:After
Before After-タグ部分の汚れ
[写真]左:Before 右:After
洗濯・乾燥後の縮み→無し
- 着丈(前面):60cm → 60cm
- 着丈(背面):68cm → 68cm
- 着幅(脇-脇):53cm → 53cm
- 袖丈(脇下-袖先):42cm → 42cm
想像していたよりも簡単にできたアランニットの手洗い
特に汚れの部分を意識することなく全体をまんべんなく押し洗いしたが、写真の通り汚れが落ちて綺麗になっていた。恐れていた縮みも無かった。洗濯前後で触感に変化は無いが、変化が無かったことがオリーブオイルを入れた効果なのかもしれない。
オリーブオイルの独特の匂いが残ることもなく、中性洗剤エマールのよい香りだけが残った。脱水の作業とタオルで水分を取っていく作業に多少苦痛を感じたが、想像していたよりも簡単だった。
インバーアランをお持ちの方で、信頼できるクリーニング屋が近所に無いという方は洗ってみることをお勧めします。自己責任でお願いします。
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Title: 55さん >
Posted by S
ありがとうございます。
あくまで参考でお願いします。
Title: No title
Posted by 55
そろそろ冬物もおしまいの時期なのでメンテの参考にさせて頂きます!!