
皆さん、靴磨きやりすじゃないですか?
自身の経験談なんですが、今思えば消耗していたなあと。
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靴磨き関連ビジネスが横行
今、世の中は空前の靴磨きブーム。
路上で靴磨きを行う従来の靴磨き職人に加え、店舗を構えて靴磨きを行うスタイルの靴磨き屋、無店舗型の靴磨き屋(郵送)、お前本当に職人か?というような若者までも靴磨き職人を名乗り、「靴磨き芸人」、「革靴ジャーナリスト」、「靴磨きYoutuber」等、靴磨きでビジネスをしている人が増えてきています。
- 靴磨き芸人 奥野の『兎にも角にも靴磨き』 YouTube
- 革靴ジャーナリスト[Leather Shoe Journal.] YouTube
- 郵送靴磨き職人|William Tempson 靴磨き YouTube
一方で、純粋に趣味が「靴磨き」という人も多くいて、SNSでは皆、競うように自分で磨いた靴を投稿しています。かく言うワタクシも靴磨きで生計を立てるつもりは全くありませんが、長い間、「趣味=靴磨き」を公言していました。
ブログの過去の記事を見ていただければわかりますが、趣味と称してかなり消耗しています。
靴磨きアドバイザーに就任しました( Youtube動画 )
靴磨きにハマりすぎると消耗するもの
今では靴磨きは「習慣」になり、「趣味」ではなくなりました。具体的に何をどう消耗していたのか。
1.靴磨きにハマりすぎると「お金」を消耗する

[写真]購入後1~2回使っただけのシューケア用品(現在は廃棄)
靴磨きの道具は一つ一つは大した金額ではありませんが、同じ用途の道具やクリームを次から次へと買い足していくと結構な金額になってしまいます。
このクリームを使えばもっと光るのではないか、あのメーカーから新しいワックスが発売されたらしい。きっともっと光るに違いない。よし、買おう。
靴クリーム、ワックスであれば安いもので1つ800円程度、高いものだと3,000円を超えます。
気がつけば同じ用途の道具が大量に
気がつけば、シュークロークの中が買ってから1回~数回使っただけのクリーム、ワックスが大量にある状態になっていました。
確かに各メーカー、ブランドごとに特徴や違いはありますが、はっきり言って大差は無い。
結局、お気に入りのクリームとワックスを1つずつ残して全て廃棄。クリーム、ワックスだけで3万円以上は消耗しました。ブラシやその他の道具もかなりの数買いましたのでトータルで10万円以上は消耗していると思います。
これから先も各シューケアメーカーから次々と新商品が発売されると思いますが、その度に買っているとキリがありません。
ここだけの話ですが、高級シューケアブランドを使っても、ダイソー(100均)で揃えた靴磨きグッズを使っても、実は仕上がりに大きな差はありません。あれこれ買って使うのはある程度の期間は楽しいかもしれませんが、それを続けることは「無駄」以外の何ものでもないというのが個人的な意見です。
2.靴磨きにハマりすぎると「時間」を消耗する
靴磨きにハマり過ぎた結果、爪先と踵は常に鏡面仕上げを施していないと気が済まないようになってしまいました。一日履いて出来たちょっとした「スレ傷」を直す為に、帰宅後の寝るまでの間の貴重な数時間のうちの数十分。時には1時間近くを靴磨きに費やすことも多くありました。

[写真]踵の内側に出来たちょっとした「スレ傷」
革が呼吸できない(=悪影響)からと鏡面仕上げをした部分を定期的にスッピン状態に戻す作業も馬鹿になりません。
1度仕上げたつもりでシュークロークに納めた靴を再度取り出して、もうちょっとやるかと気がつけば1時間経過していたりすることも頻繁にありました。

[写真]鏡面磨きは時間がかかる
時給に換算すると年間約「365,000円」の消耗
空いた時間にはもっと光らせる方法や道具は無いかと情報収集。
まさに寝ても覚めても「靴磨き」状態。
1日1時間365日靴磨きをしていたとすると、時給1,000円でも365,000円の消耗です。10年、20年やり続けると…。ピーク時には少なく見積もっても1日に1時間以上は確実に靴磨きに費やしていました(情報収集の時間を含む)。
3.靴磨きにハマりすぎると「靴」を消耗する

[写真]手入れのしすぎ(クリームの塗りすぎ)もひび割れの原因に
靴磨きにハマり過ぎて靴を消耗。どういうこと?と思われるかもしれませんが、必要の無いクリームやワックスを靴に塗り過ぎることによって靴の寿命を縮めてしまうということです。
過度な栄養(油分)補給は、革を必要以上に柔らかくしてしまい、型崩れの原因になったり、ひび割れの時期を早めてしまいます。
自身がそうだったのですが、ピカピカに光らせる事だけが目的の手入れを履く度にしていました。「もっと、もっと」とクリームやワックスをペタペタ塗ってはブラシや布で革を擦り上げる。
当然ですが、履く度にクリームを塗る必要はありません。手入れを全くしないことはもちろんですが、「手入れのしすぎ」もまた靴の寿命を確実に縮めて(消耗して)しまいます。
靴磨き=鏡面磨きではない

[写真]鏡面仕上げを施したお気に入りのキャップトゥ
履き心地が良いお気に入りの靴を長く履く為の手入れは必要。
きっちり手入れしていると見た目にわかる適度な艶も必要です。マナーと言っても良いのかもしれません。
しかし、それ以上の手入れ、つま先や踵、その他をピカピカに鏡のように光らせる「鏡面磨き」。これ本当に必要なのでしょうか。
磨きの仕上げにもきっとあるTPO
TPO
Time(時間)、Place(場所)、Occasion(場合。Opportunityと使われることもある)の頭文字をとって、「時と場所、場合に応じた方法・態度・服装等の使い分け」を意味する和製英語。
引用:wikipedia
ちょっとしたパーティー以上のパーティー等、華やかな場所なら鏡面磨きを施した革靴が相応しいですが、それ以外の環境で過度な鏡面磨きはやり過ぎ、逆に下品なのではないか。そう思うようになりました。
葬儀の際にピカピカに磨いた靴が御法度とされることは常識。鏡面磨きにも必要な場面というものがあり、その場面は(ワタクシのような小市民には)年に数回ある程度。

[写真]過度な鏡面磨きで変態扱い?
「あいついつも靴だけピカピカに磨いてるけど他に磨くとこ、あるよね?」なんて周りから言われていたかもしれません。駅のホームでつま先だけ鏡のように磨いた靴を履いた男がスカートを履いた女子高生の後ろに立っている。
ただ電車を待っているだけなのに見る人によってはそう見えることもあるかもしれません。「やり過ぎ」というのは側から見ると多くの場合、痛々しいものです。
まだ(いつまで)靴磨きで消耗するの?

[写真]普段履きの手入れはほどほどに
計っていないので正確な時間はわかりませんが、ピーク時には「週に4〜5時間」程度は靴磨きに費やしていました。今では「週に30分」程度。主にブラッシングのみで、たまにほんの少しのクリームを使って手入れする程度です。上の写真は1日履いた後の手入れが終わったお気に入りの革靴(チャーチ コンサル)です。
ブラッシングのみで鏡面磨きもしていなければピッカピカの艶も出ていませんが、この状態で手入れ完了です。業界や職種にもよると思いますが、普段仕事で履く靴ならこれで十分。これ以上はやりすぎ。
靴磨きブームを否定する気は毛頭ありませんが、「趣味と称して消耗しすぎ」ることのないようにして下さいね。というのが趣旨です。
「お金」も「時間」も「靴」も大切にしましょう。
と言いながら今後もこれはと思う靴磨きの道具があれば購入します。過度な手入れは卒業しましたが、靴も時間も消耗しない「やりすぎない靴磨き」はこれからも続けます。