「革靴」に「シューツリー」は本当に必須なのか?
革靴を履くなら必須のアイテムとされている「シューツリー」。実はほとんど意味が無いということが分かりました。その理由について記載しています。
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一般的にあると言われている「シューツリー」の効果
一般的にあると言われているシューツリーの効果は下記の4つ。
- 除湿効果
- 消臭効果
- 皺を伸ばす効果
- 型崩れ防止効果
一般的にあると言われている「シューツリー」の効果 4件と本当にそれ必要?と思う理由
1.除湿効果
[写真]湿度計(シューツリーの効果検証時)
過去に実験を行った結果、除湿効果については間違いなくあるという結果になりました。シューツリーを入れた場合と何も入れていない場合で30分後の湿度を比較。シューツリーを入れた方が湿度が低いという結果になりました。ですが、代わりに乾燥剤を入れることもできますし、除湿のみなら乾燥剤(除湿剤)でも問題無く、除湿効果も高いはず。
追記
ずぶ濡れになった革靴で実験を行いました。シューツリーで湿気を閉じ込めてしまいカビが発生。除湿したい時には乾燥剤(除湿剤)を使うのが間違いないです。詳細は下記の記事をご覧ください。
[写真]シューツリーでカビ発生
2.消臭効果
これに関しては実験を行ったわけではありませんが、シューツリーに消臭効果はあると思っています。ですが、除湿が出来ていれば臭くなることもなく、消臭の必要は無し。消臭効果だけなら消臭剤、消臭スプレーの方が効果も高いはずです。
足の臭いでお悩みの方は、保革をしながら消臭、香りがよくなる効果が得られる、ミズノ「裏革コンディショナー」というメンテナンスジェルを試してみて下さい。かなりオススメです。
3.皺を伸ばす効果
[写真]一時的に伸びるがすぐに戻る
シューツリーを入れると皺は一時的に伸びますが、抜くと戻るので効果は一時的。使用に伴いできる「革靴の皺」はシューツリーを入れた程度では伸ばすことはできない(=自己満足レベル)。皺の入り方は革の質で変わってくるものであってシューツリーで皺をマイルドにすること等到底できない。
4.型崩れ防止効果
シューツリーを入れたままだと型崩れを防止できますが、「抜くと戻る」のでこれも効果は一時的。シューツリーを使わずに型崩れしてしまったと言われている靴はどれも安物(と思われる)靴ばかり。型崩れする靴なのか否かは製造工程(素材含む)で既に決まっていてシューツリーごときでは型崩れを防ぐことは到底できない(=自己満足レベル)。
シューツリーが実はほとんど意味ないんじゃないかと思った事例 2件
何故突然こんなことを言い出すのか、ある程度根拠となる事例が2件(2足)ほどあります。
①シューツリーを入れずに10年履いている靴(コードバン)に全く問題が発生していない
[写真]コードバン靴にはシューツリーを使わず乾燥剤を使用
素材(コードバン)の特性なのかもしれませんが、シューツリーを使わずに履いていて「型崩れ」も「ひび割れ」もなく10年程度経過。「シダードライ(Amazon)」という乾燥剤を入れている為か、カビの発生も皆無で臭くもなっていません。型崩れも反り返りも無し。
[写真]シューツリー不使用でも反り返り無し(コードバン)
逆にコードバンに関しては「シューツリーを入れない」方がメリットがあり、意図的に入れていません。メリットはシューツリーを使うことで履いた時に「皺の谷の部分が白くなる」というものですが(詳細は下記の記事をご覧ください。)、シューツリー無しでも全く問題ないというのが実体験①。
動画(5:41~)もご覧ください。
②片足は「シューツリーあり」、もう一方は「シューツリー無し」で実験(中)の靴に左右差が全く無い
実は、数年前から「シューツリー」はほとんど意味がないんじゃないかと思っていて、ある実験をしています。上の写真の「神匠」のコインローファー。購入してから1年半が経過しています。着用期間は春~秋(4月~9月頃)限定で着用時はほぼ「素足」。右足はフィット感高めのシューツリー「有」、左足はシューツリー「無」という状態で使用しています。
履かない時期の保管の際も同様(右:シューツリー「有」、左「無」)の状態です。シューツリーを入れるとある程度皺が伸びて、反り返りも戻っていますが、下の写真の通り、シューツリーを抜いた状態だと、左右で「皺の状態」、「反り返り」に差がありません。(※両足ともシューツリーを抜いた状態)
両足ともシューツリー「無」の状態
新品で着用開始の時からこの実験をしていますが、ご覧の通り左右に差はありません。まだ1年半経過した段階なので引き続き検証を継続します。ちなみにこのローファーではシューツリー以外のいくつかの「説」の検証をしています。おおよその結果が分かり次第、随時更新します。
動画(6:24~)もご覧ください。
シューツリーを使うことで「逆に型崩れさせている」可能性もある
自分の足に馴染ませたいはずの革靴。せっかく履いて自分の足の形になっているところにシューツリーを入れて元に(シューツリーの形)に戻すことが習慣化。
むしろ「シューツリー」を使用することによって、(自分の足の形に対して)「型崩れを促進させている」又は「足への馴染みを遅くしている」なんていうこともあるのではないか。シューツリーを入れることで「一時的に皺を伸ばすこと」に、「一時的にシューツリーの形にする(戻す)こと」に何の意味があるのか。(わかる方がいれば教えていただきたい。)
シューツリーの「除湿効果」でカビ、臭いの発生を抑えることができる、保管時に入れておいた方が「見た目が良い」等のメリットもあるので意味が全く無いとは言いませんが、「皺を伸ばして型崩れを防いで革靴の寿命を伸ばす」等の「巷でうたわれているシューツリーの効果は「自己満足レベル」かむしろ「逆効果」の可能性もあるということを念頭に入れて選ぶことをオススメします。
オススメのシューツリー「コロニル アロマティックシダーシューツリー」
使用開始から15年程度のシューツリー(コロニル)
「革靴メーカーの純正品である必要」も、「高ければ高い程良いというわけ」でもなく、「過度にフィット感にこだわる必要もない」と考えていて、オススメはコロニルの「アロマティックシダーシューツリー Amazon」。理由は、低価格でありながら全く壊れないこと(15年程度使用)と、所有している靴で合わないものが無い(汎用性が高い形状である)こと。
メーカー希望小売価格は4,200円(+税)ですが、楽天やAmazonではサイズによっては3,000円以下で買えるものもあります。
オススメしないシューツリー
逆にオススメしないタイプのシューツリーとしては、多くのシューツリーで採用されているつまみの部分がネジで埋め込まれているタイプ。
[写真]使用開始から5年程度のシューツリー(スレイプニル Amazon)
写真のようにネジ穴がバカになってすっぽ抜けるようになってしまい、いくつか廃棄することになってしまいました(因みにシューツリーは可燃ごみ※地域により異なります)。
過度にテンションにこだわる必要無し
シューツリー装着時の皺が「伸びる/伸びない」についても過度にこだわる必要がない(と考えている)為、必要以上にテンションをかけず、あらゆる靴に合う形状で、かつ壊れにくい「コロニルのアロマティックシダーシューツリー Amazon」や下の写真の「無印良品 楽天市場」、「スレイプニル(つまみがネジ式でないタイプ) Amazon」のタイプがオススメ。
[写真]左:無印良品 右:Sleipnir(スレイプニル)
「シューツリーは本当に必要なのか?」まとめ
[写真]シリカゲル 乾燥剤
お気に入りの革靴にこだわりのシューツリーを入れることで、「(なんとなく)大切に扱っている」という実感が得られるのも事実。観賞用としては一時的(自己満足)であっても皺が伸びている方が見た目も良く、革靴とシューツリーはセットだと考えている人がほとんどだと思います。
ですが、「諸説あり(正解が無い)」を謳い文句に、「なんとなく良さそうなもの(気休め程度の効果しかないもの)」の販売が非常に多い革靴(メンテナンス)界隈。何を目的としているかによって、シューツリーを使う/使わない/使い方を含めて選ぶ必要があるのではないかと思います。もしかしたら、「海苔」や「ふりかけ」、「お菓子」などに入っている乾燥剤(再利用)を入れておくだけで十分なのかもしれません。
まとめ
- 除湿、消臭効果はあるが、シューツリーでなくてもできる(乾燥剤等)
- 「皺を延ばす効果」、「型崩れ防止効果」は入れている間限定で抜くと元に戻る
- シューツリー不使用(10年)でも問題が発生していない革靴がある(コードバン)
- 「右足シューツリー有」、「左足シューツリー無」で履いても左右差が無い
(一時的に戻しても効果(=意味)が無い) - 「一時的に皺が伸びる」=「革靴の寿命が延びる」ではない
- 一時的にシワが伸びるので保管時の見た目がよい
- 入れた状態で皺が伸びているか否かは重要ではない
- 自己満足の要素が強いシューケアアイテム
- 革靴好きの間では必須のシューケアアイテム
- 販売する側が革靴とセットで販売することを考えている
- 革靴=自己満足の世界でいつの間にか必須アイテムとされるようになった