501XX LVC(リーバイスヴィンテージクロージング復刻)とオリジナル(ヴィンテージ)の比較(違い)|Levi's®(リーバイス) LVC 50155-0116 1955年復刻 ジーンズ穿き込み #50【完】

[写真]左:501XX復刻(LVC) 右:501XXヴィンテージ
リーバイスのヴィンテージ「復刻LVC」と「オリジナル」の比較(違い)
リーバイスのジーンズ501xxのヴィンテージオリジナルと復刻LVCの比較をしています。
これがあれば??年代。この部分の素材が??だと??年代。ファッションとは関係が無いところがポイントとなって価格が上下するヴィンテージジーンズ。
リーバイスの復刻版(リーバイス ヴィンテージクロージング LVC)の完成度が低いというのは過去の話。現在穿き込み中の復刻(LVC)と、ほぼ同年代で色落ちの状態も同じ程度のヴィンテージが入手できたので、何が違うのかを比較してみました。ご覧ください。
contents
比較するジーンズの概要
比較するジーンズの概要は下記の通りです。
ヴィンテージ
- リーバイス 501XX オリジナル
- 年代:1960年代前半製(推定)
- 通称:ギャラ無し紙パッチ
復刻(LVC)
- リーバイス 501XX 復刻(LVC)
- 年代:1950年代中盤を再現した復刻
- 通称:ギャラ入り紙パッチ(の復刻)
復刻(LVC)のジーンズは、「ギャラ入り紙パッチ」の時期(1950年代)の復刻で、比較するヴィンテージはその数年後に製造されていたとされる「ギャラ無し紙パッチ」期(1960年代前半)となります。若干の年代の差はありますが、大体同じ時期ということで大目に見て下さい。申し訳ございません。
各種ディテールの特徴は移行期含め、混在することが多々あるそうで、「これ」が「こう」ならこの年代で「確定」というような確証はできないようです。
価格

[画像]Levi's® E-shop
- 復刻(LVC):3万円程度
- ヴィンテージ:10万円程度。状態(色落ち、ダメージ)やサイズにより大きく変動
最も大きく異なるのは価格。ヴィンテージは年々価格が上昇してきており、色落ち(濃ければ濃い程希少)、ダメージ(無ければない程希少)等により大きく変動します。サイズによっても価格は変動し、ゴールデンサイズ(ウエスト32~34、レングス30前後)と呼ばれるものは多くの人が好むサイズで需要が高い為、価格も高くなります。ゴールデンサイズから外れると価格は若干下がりますがそれでも復刻と比べると雲泥の差。
【リーバイス501xx】紙パッチギャラ入りpart② ベルベルジン BerBerJin harajuku levis ファッション 藤原 Gジャン デニム - YouTube
動画で紹介されている501XXのヴィンテージの新品、いわゆるデッドストックは60万円(ゴールデンサイズW32~34なら+10万円~20万円)。復刻(LVC)なら自分の好みのサイズが、ヴィンテージの20分の1の価格の3万円程度で常時ワンクリックで購入可能。
ヤフオク 501XX 紙パッチ
トップボタン
[写真]左:復刻(LVC) 右:ヴィンテージ
ヴィンテージの年代を判別する際に、各所のディテールの違いが語られますが、あまり話題に上がることがないトップボタン。それもそのはず、一目でわかる程の違いはありません。復刻の方がよりすっきりとしたフォントが使われているように感じます。
ボタンホールの縫製の糸の色も違いますが素材の違い(色落ち)によるものかもしれません。いずれにしても穿いている状態では違いを確認することはできません。
トップボタン裏の刻印
[写真]左:復刻(LVC) 右:ヴィンテージ
年代判別をするうえで最もポピュラーなのがトップボタン裏に刻印された文字。復刻(LVC)には「4420」、ヴィンテージには「W」の刻印があります。トップボタンの裏には製造された工場の管理番号が刻印されているというは噂がありますが、あくまで噂レベルであって、明確なエビデンスはないのだそうです。
- アルファベット「E, J, K, L, S, W」等=XX(ダブルエックス)
- 「E」=カリフォルニア州エルパソ工場製
- 「16」=ミシシッピ州ボールドウィン工場製
- 「6」=66モデル
- 「555」=バレンシア工場製
等が有名。同じ年代でも、刻印の番号(工場)によって色落ちが違うという説もあります。
参考
- 80年代~90年代のリーバイス社(Levi Strauss & Co.)の工場番号&所在地一覧 | 柴剣談話室
- Levi’s(リーバイス)フロントボタン裏の数字刻印の意味 | ヴィンテージの知識をまとめて伝えるブログ
- 60年代後半の501主要ディテール変更: ボタン裏刻印とアーキュエットステッチ | 私のリーバイス
トップボタンの裏に刻印された文字。もちろん穿いている状態では確認することができません。
隠しリベット
[写真]左:復刻(LVC) 右:ヴィンテージ
中には無いXXも存在するそうですが、ある=XXが確定ということで、あるとないとでは価値に大きく影響する「隠しリベット」。素材は同じ銅。経年の差なのか、ヴィンテージの方が濃い色をしています。あっても無くても穿いている状態では見えませんが、擦れてくると隠しリベットがあるジーンズ特有のアタリ(下の写真)が出ます。
[写真]隠しリベットがあるジーンズ特有のアタリ(ヴィンテージ)
コインポケット
[写真]左:復刻(LVC) 右:ヴィンテージ
復刻(LVC)には赤耳が付いていますが、平坦でアタリは付いていません。ヴィンテージの方には縦にアタリが付いています。リーバイスを模倣するジーンズブランドにはこの部分に注目し、同じようなアタリが出るような作り方をしているブランドもあります(通称:稲妻)。
過去にこの部分に憧れ、洗濯糊(スプレー)を使ってアタリを出そうと試みたことがありますが、全く効果がありませんでした。生地の向きでアタリが出る出ないが分かれてくるようです。

[写真]復刻(LVC)にアタリを付けようとした時の写真
スレーキ補強リベット
[写真]左:復刻(LVC) 右:ヴィンテージ
スレーキ(ポケットの布地)の補強のリベットの素材。復刻は銅素材でヴィンテージはアルミ。この違いについては復刻だから、ヴィンテージだからの違いではなく、年代の違いによるものです。ギャラ入り紙パッチの時代(1950年代中盤~年頃)のリベットの素材は銅が使われているようです。入手したヴィンテージがギャラ無し紙パッチ期(1960年代前半)の為の違いです。
因みに「銅」と「アルミ」、素材の価格自体は銅の方が高くアルミの3倍程度。「銅」→「アルミ」への素材の変更はコストダウンによる変更だったのかもしれません。現行のリーバイスのジーンズには「アルミ」が採用されています。アルミ、銅、にも種類が複数あるので簡単には説明できませんが、ジーンズの布の補強に強度はそれ程必要ないという判断なのかもしれません。
バックポケット(アーキュエイトステッチ)
[写真]左:復刻(LVC) 右:ヴィンテージ
47年モデルや66モデル等、一目で復刻モデルとわかるいびつなバックポケットの形状の復刻(LVC)モデルもありますが、1955年モデルは形が綺麗でヴィンテージのバックポケットとも形状がほぼ同一。バックポケットの形状が綺麗なことも1955年代の復刻を選んだ理由の一つでもあります。
LVC 年代(モデル)で違うバックポケットの形状

[写真]左:1947モデル 中央:
1955モデル 右:
1966モデル|Levi's®公式
アーキュエイトステッチは素材の素材に違いがあり、ヴィンテージは綿、復刻はポリエステルかアクリルか綿以外の素材が使われています。ヴィンテージの方はほとんどが抜けてしまっていますが、復刻は8年穿いても綺麗に残っていました(抜糸済み)。
リーバイスのアイコン的な部分なので復刻でも、抜けてしまわないように敢えて強度の高い素材を使用したのかもしれません。実際のところはよくわかりません。
ヴィンテージのような雰囲気で、ある程度色落ちもしているのにアーキュエイトステッチが綺麗に残っている。もしかしたらそれは復刻(LVC)モデルなのかもしれません。
アーキュエイトステッチを抜いた時の記事は下記の別記事をご覧ください。動画もご覧ください。
【動画】LVC501 1955モデルのアーキュエイトステッチを抜いて燃やした(Youtube動画)
赤タブ
[写真]左:復刻(LVC) 右:ヴィンテージ
アーキュエイトステッチ同様、リーバイスのアイコン的な存在である赤タブ。LEVI'Sの「e」の文字が大文字「E」であることが古いジーンズの証であり、価値があります(通称:ビッグE)。ヴィンテージ、復刻、どちらもビッグEですが、赤タブ自体が丸まってしまっていて、穿いている状態では確認することができません。復刻モデルでも初期の復刻ものは丸まっていないものありますが、使われている素材で違うようです。
時期によっては、「V」の文字が不均等のもの(通称:不均等V)があったり、片面だけしか刺繍されていないもの(通称:片面タブ)もあります。今回比較しているものはヴィンテージ、復刻共に「ビッグE」、「均等V」、「両面タブ」の仕様です。違いはありません。
ベルトループ
[写真]左:復刻(LVC) 右:ヴィンテージ
[写真]左:復刻(LVC) 右:ヴィンテージ
製造技術の問題なのか、中央からずらして取り付けられている「オフセット」ベルトループ。縫製が甘くクレームになるくらいなら、いっそのこと中央からずらして生地の薄いところで縫製してしまっている「オフセット」なベルトループですが、復刻モデルでは再現されていません。ズボンとしての機能を優先して「オフセット」にしなかったのか、再現しようとしたモデルが「オフセット」されていなかったのかは定かではありません。
ヴィンテージの紙パッチのXXで言えば、ずれている(オフセットの)方が価値が高いとされています。強度は低く、ズボンとしての性能はオフセットの方が低いのは間違いありません。
フライボタン
[写真]左:復刻(LVC) 右:ヴィンテージ
トップボタンには違いがありませんでしたが、その下のフライボタンにはわずかな違いがあります。ヴィンテージのフライボタンの「LEVI STRAUSS & CO」の文字「R」の左側の棒が長くなっています。いわゆるミスプリントのような部分ですが、ヴィンテージジーンズのディテールを判別する際、しばしば語られる部分です。「足長R」等と呼ばれています。特定の年代のジーンズには必ずこの足長Rのフライボタンが付いています。

[写真]フライボタンの足長R(ヴィンテージ)
復刻モデルでは「足長R」までは復刻していません。リーバイス社が復刻する際、マニアック過ぎてスルーしたのか、気付いていないのかはわかりません。もちろん穿いている状態では確認することができません。
ステッチ
[写真]左:復刻(LVC) 右:ヴィンテージ
上の写真のように縫製に使われているステッチの色(素材)も違いがあります。ヴィンテージの方はほぼすべての箇所が黄色のステッチ。対する復刻(LVC)はオレンジ色と黄色のステッチが使われており、場所によって違います。細かい部分ですが、全体でみると雰囲気が違います。イエローステッチが多く使われている方が古いとされており、チェックするべきヴィンテージジーンズのディテールの一つとされています。
セルビッジ
[写真]左:復刻(LVC) 右:ヴィンテージ
セルビッジの幅はほとんど同じですが、白い部分の幅(割合)が違います。復刻(LVC)の方は白い部分が大きく、ヴィンテージは狭い。赤耳と呼ばれる理由の赤い糸も復刻(LVC)は濃く残っていて、ヴィンテージの方は赤い糸が全く残っていません。退色してこうなったのか、初めから赤い糸が使われていなかったのかはわかりません。
セルビッジのアタリ(色落ち)
[写真]左:復刻(LVC) 右:ヴィンテージ
セルビッジの幅が同じ程度なのでアタリ(色落ち)についてはほぼ同じようなアタリ(色落ち)が出ています。左が復刻、右がヴィンテージです。個人的にこの部分の色落ちが好きで、ヴィンテージのような強いアタリ(色落ち)を出す為に、コインランドリーの乾燥機に何度も入れて、このようなアタリにすることができました。
色落ち
[写真]左:復刻(LVC) 右:ヴィンテージ
[写真]左:復刻(LVC) 右:ヴィンテージ
[写真]左:復刻(LVC) 右:ヴィンテージ
最も重要な部分で完成度の高い低いに影響されると思われる色落ち。ヴィンテージの方が若干、縦落ちが強く出ているように感じますが、ほとんど見分けがつきません。インディゴ(青)の色も同じような色をしています。じっくり見ると違いがあることはわかりますが、一目でどちらがヴィンテージで復刻か、判断できる人も少ない又はいないのではないかと思うレベルです。
シルエット
[写真]左:復刻(LVC) 右:ヴィンテージ
この時期の501のジーンズのシルエットはいわゆるストレート。ファッションアイテムとして認知され始めてからは、裾にかけて細くなっていく、テーパードがかったモデルもあります。ウエストサイズが若干違いますが、シルエット自体はヴィンテージと復刻、どちらも同じ。違いはありません。
501XX ヴィンテージと復刻(LVC)の違い まとめ
長々と書きましたが、復刻とヴィンテージ。そのディテールを一つ一つ見ていくと、細かい違いは確かにありますが、純粋にファッションアイテムとして穿く場合、その細かい違いに気付く人がどれだけいるのか。スレーキの補強に使われているリベットの素材が銅だからかっこいい。ということは無い訳で、その違いが発揮されるのは売却する時だけ。(ヴィンテージジーンズの要件を満たしていれば、色が薄くても破れていてもある程度の価格で売却可能。復刻(LVC)は、新品の場合を除き、ほぼ無価値。)
ヴィンテージジーンズのオーラ
ヴィンテージジーンズの価値が全く分からない人間なのかといわれると、そういうわけではなく、復刻にはない「独特のオーラ」のようなものは理解しているつもりです。
ですが、一体それが何なのか未だによくわかっていません。希少価値があると言われていて、価格が高額であることが理由なのか、わずかに違う色落ちなのか。ペンキ跡や、リペア跡がヴィンテージのオーラなのか。中高生の頃から熱心に読んでいたアメカジ系の雑誌やブログ、SNS、Youtubeの見過ぎで、ヴィンテージジーンズ愛好家(ショップ含む)に洗脳されているだけなのではないか、と思うこともあります。
ヴィンテージジーンズはビックリマンシール(レアキャラ)と同じ
得体のしれない僅かな違いに大金を払って買う価値があるのか、そこにお金をかける余裕があるのか、いや、無い。というのが個人的な意見、と状況。幼い頃に夢中になった、ビックリマンシール。レア(数が少ない)だから他の人は持っていない。自分は持っているという満足感。
[写真]左:復刻 右:オリジナル|ヤフオク
一部の人の間では現在も高値で取引がされているようですが、多くの人はある程度の時期を過ぎると、一切興味が無くなります。同じく復刻版というものが存在しており、希少性があるオリジナルに人気は集まります。
ヴィンテージジーンズを追いかけるということは、レアなキャラクターのビックリマンシールを持っている(た)か否かの違いくらいでしかないのではないか。
奇しくもヴィンテージジーンズに躍起になっている世代の中心が、ビックリマンシールに熱を上げていたまさにその世代(1970年代生まれ)が中心だというのも偶然ではないのかもしれません。ヴィンテージジーンズはビックリマンシールのレアキャラと同じ。ファッションアイテムとして穿くならヴィンテージである必要は無い。
骨董品化しているヴィンテージジーンズ。今後増々価格が上がることは間違いないと思われます。
「LVC(リーバイス ヴィンテージクロージング)501XX 1955年 モデル」と「ヴィンテージ ジーンズ 」の比較( Youtube動画)
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